2009年8月21日金曜日

クリムトの着物








グスタフ・クリムトが「接吻」を生み出してから100年が立ちました。

わたしが創作の世界に身を置くようになったきっかけは様々ありますが、
中でもクリムトとガウディを知ったことは大変なことでした。
40年前はインターネットもなく、日本の出版社から出ている本も殆どなく、輸入洋書でしか伺い知ることの出来ないその世界。

世間では殆ど知られていないその世界に接するという密やかな喜び。
しかし多くの人にその世界が知られるようになり、現物を見に現地に行かれる方も多い今でもやはりこのふたつのワンダーランドは自分にとって
変わらず聖地であります。

クリムト死後もうじき100年になり、著作権もクリアー出来ますので
恐れ多いながらいくつか自分なりのオマージュを産みだたせていただきました。
クリムトの作品に特徴的なシンボリックな形をアレンジした生地をオリジナルで織り、そこへさらに手描き友禅と臈纈染めの技法でクリムト模様を染め出したものがこの訪問着です。
模様をジャガード織りの織機にかけるための原稿の草稿と、織り上がった生地、そして白黒主体の着物の写真です。

さてクリムトは57年の生涯で結婚はしませんでしたが様々な「相手」がいらして非嫡出子も何人かおられるようですが、中でも夭折した弟の奥さんの妹である女性とは終生不思議な関係を続け、この「接吻」はじめ多くの作品に登場しています。

エロスと死がそこここに沸き立つイメージ。
「毒」の盛り込まれた食卓。


さて作家の中島梓=栗本薫さんが今年若くして亡くなられましたが、
その凄まじい創作時の集中力を長年のパートナーが語っています。
「それを見ていると小説を書くということは何らかの過剰と欠落の補填の行為ではなかろうかと。」

クリムトの作品から沸き上がる過剰もきっとそういった種類のことなのでしょう。しかしそれを「生」の状態でなくなんらかの「美」に昇華させたところに彼の世界が立ち上がるのでしょう。

最後に真夏の暑気払いとしておまけです。
しもじもの者の煩悩に過剰なパンチを浴びせる車谷長吉氏の一文に遭遇しました。朝日新聞としては異例な感じですが転載させてもらいました。
どうとるかは各自の思いのままに。
わたくしは責任持ちませんからね。

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2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

素敵なお着物ですね!!!
クリムト&着物。。。
両方好きですが、思いつきもしないコラボに感激しました!

シングルマザーをしながら仕事&子育て&生活に追われる毎日で手に取る事は出来ませんので写真で我慢します!

これからも素敵な作品が生み出されていくのでしょうね♪

 silkgallery さんのコメント...

春山 様
長野の展示会場からです。季節外れの雪が積もりました。
コメント、ありがとうございました。秋の初の個展に向けて慌ただしい日々を過ごしております。クリムトテーマの新作も発表いたしますので、宜しかったらお出かけ下さいませ。 このサイトにも告知いたしますが、 連絡手段をメールしていただければ、ご案内させていただきます。