2009年8月15日土曜日

終戦の日に

八月十五日、今年も蝉が鳴いています。
直接戦争を体験したことがない私にも「その日」の何とも言えぬ空気を感じさせてしまう舞台設定の季節。

やれ不況だ、廃業だ、鬱だと騒ぎ立てたところで、あの時代に比べれば
恐らく何ということでもない話。
以前ならテレビ画面には出なかった様な凄惨極まりない様な記録画像も
紹介されるし、ネットならもっと突っ込んだ映像にも触れられる。
直接体験者達がこの世からそろそろと退場されて行く中で
もっともっとあの時代のことを、生身の個人の言葉で伝えていって欲しいと思います。戦争絶対反対を言うのは当たり前です。
しかし具体的な個々人のレベルでの心構えに繋がるような、些細だけれど
重大な何か、というヒントを語っていって欲しいのです。

例えば次のような映像があります。
いずれも日本の自衛隊の女性自衛官のもの。
「国を守る」という組織の日常の訓練だとこうなるのでしょうが
しかし現実に万万が一このような状況になったとしたらすでにそれは
破滅の手前だということは子供でもわかることです。
女性の兵士が直接地上戦の現場に立たなければいけないなんてことは
未来においてありえないことだということです。これは男の兵士についても同様です。本土防衛なんてありえないのです。
その前にしなければいけない仕事、やるべきことがいくらでもあります。
お金をかけなければいけないことが兵器以外に山の様にあります。
仮想敵国である、ロシア(旧ソビエト)、北朝鮮、中国、もしくはまたまたアメリカなりイギリスの軍隊が宗谷岬なり九十九里海岸なりに上陸して、
それを捨て身で迎え撃つ日本人、なんて白日夢の狂気でありますよね。

女性兵士達の行進は約300人、この塊マッスを60何倍かしたら硫黄島での
日本軍の戦死者になるのですね。
沖縄でも20万人近く  参考「沖縄戦」ウィキベディア
またニューギニアなんて日本より広いところに20万人も送り込まれ
生還者は2万人足らずなどということもこのパレードから少しだけイメージ出来ます。
ついでに余計なことかもしれませんが、昨今の毎年の自殺者3万人というのはこの兵士達100部隊がごっそりいなくなるというわけなのですね。

不況で仕事がないアメリカの女性達が、「州兵」に働き口を見つけたのはいいが、それがイラクに派遣されるようになり、拒否すると刑務所行きということで仕方なく従う、或は国民の義務として積極的に出かける。
しかし現実の苛烈至極な戦場を経て、心を病むもの、日常に復帰できないもの、とくにママさんの兵士は子育てに戻れなくなる例が多数あるということです。ベトナム戦争を経て復員した若者が社会適応できず西部の山中にひっそり暮らすとか、カルトの集団を作るとか様々な話も聞きます。
それほど人間にとって戦争・戦場とは過酷なものなのでしょう。

社会学者の宮台真司はこのような意味を為さない防御兵器の代わりに、
万万が一の抑止力としての報復能力のある中規模な軍事力を持つことを提案しています。このことは大変な賛否があるでしょうが、少なくともなし崩し的に闇雲に、自衛隊という世界でも五本指に入る規模の「軍事力」を持ち続けることの愚かさに対してインパクトある提案ではあるでしょう。

政権選択とかで世の中の「無駄」についてかまびすしいですが、
本当は「財源」なんていくらでもあるというのは、仕事の現場にいる人なら
誰でもわかることです。
どちらが政権を取ろうが関係ありません。

アメリカ社会が、銃によるどんなに悲惨な事件が続発しようが一向に銃規制に向かわないのはそれで「食べている」何百万人かがいるからです。
日本の軍事にも道路にも農政にもこんなことはごろごろ。
恐らく大半の人はそれを知っているし、死ぬ気でやれば何とかなるかもしれない、とは思っていると思います。しかし自分に降り掛かる何十万円か何百万円かの負担にはなかなか首を振れないでしょう。
わたくしとても、明日からの負担増を思うと目眩がいたします。

しかし幸か不幸か、地方の老年世代が今までの自民支持をやめるというのは
大変なことです。もうそこまで切羽詰まっているのでしょう。
何十年か前約束された年金やら退職金やら保険金の額を見直すという、
化け猫の首に鈴を付けることの出来るリーダーが現れない限り
もう現況の重苦しさは解消されていかないのではと思うのです。

しかしそれもこれも、あの「戦争」の時代に比べれば大したことなんかないのではありますまいか。

日中戦争、太平洋戦争と十五年に渡る戦さの末、日本人だけで310万人、アジアで1000万人、世界だと3000万人以上の犠牲者が出たと言います。
そしてその反動で生まれた団塊の世代と言われる日本人約700万人がここ20年から30年の間にそろそろと亡くなって行きます。あたかも戦争のようなスピードで・・・。戦争という世の中の激変物語の後編の有様です。
これがいまから何年かの日本という国の現実の姿だというのです。

地方へ行くと、今まで書いて来たような重苦しい状況に直面いたします。
特にわたしが関わっているような世界ではそうです。
リーマンがあってもなくてもそうだったのでしょうが、ここ一年のばたばたはそれに追い打ちをかけました。
でも多分、今までの何十年かが特殊で例外的な時代だったのです。
常に前年比何パーセントアップとか、右肩上がりの資産価値や利率なんて。
江戸の世では利息なんて無かったというではありませんか。いわく定常社会。

私たちの先達が、着物の染めをする代わりに軍服を作っていたとかパーラシュートの素材の糸を織っていたとか、そんな時代に比べれば私の置かれた状況など、まさに「極楽」であります。

ただただ、浮き世を忘れさせられる様な「素敵な一品」を生みだすことを
夢想しつつ制作していきたいと思います。

大げさになってしまいましたが終戦の日にあたり思いを綴ってしまいました。長々とありがとうございました。

please click
にほんブログ村 ファッションブログへ

please click










0 件のコメント: