です。
長野県松本で過ごした少年時代、あんなに「夏」が好きだったのに今では
一刻も早く過ぎ去って欲しいとすら思う自分に驚く。
「麦藁帽子と、半ズボンから出た太もも同士が擦り合う感覚の絶望的夏休み」。稲垣足穂翁の少年愛ワールドに登場する時が止まったような「夏」。
自分だけの世界が夏休みの終焉と共に終わってしまうと恐怖する。
蝉の声。 稲光と落雷。
日本ではさらにそこに絶望と虚無の敗戦の八月のイメージが加わる。
長野県の夏休みはお盆明けの17,8日位にはもう終わって二学期。
また学校の毎日に戻されて、漸く慣れたかと思う八月末頃、
テレビニュースは都会の子供達の夏休み最後の何とかかんとかを伝える。
なんだか凄く損をしているような感じを毎年抱いていた。
ひと月以上続く夏休みって、一体どんななのだろう?
どうしたらこれからその感覚を体験できるだろうか。
未練たらたら残りの道を歩いていくのだけれど・・・・。
さて本日2009年8月11日早朝大きい揺れで起こされた。
台風が来ているときに、地震が起こることは割とあることだというが、
まるでカルトのとんでも話のようではあるが、
地下の地層が微妙なバランス状態のときに、台風の巨大なエネルギーが
動き出しのきっかけになるというのはありえないことだとは言えないという。まさに台風9号は東海沖を進軍中。
その二日前の9日、山のアトリエで13メートルの生地を染めていたとき、
山全体がごぉーーという音で微妙に振動しだした。
突風が来る前の感じとも違うと思っていたら20秒くらいして本当の横揺れがやってきた。静かな山中だからこそ感じられた直前の前兆だったと思われる。
かなりしつこく長い揺れに折角14年もかけて積み上げた丸太のアトリエも
駄目か、という思いもよぎってしまった。
実は、何年か前の「新潟中越地震」も「中越沖地震」も偶然この山中で体験している。自然のなかで「自然現象」を体験するのは人工世界での体験と違う気がする。恐怖感と諦念。
夏至のころ、八時近くなってもまだ薄明かりで作業できて、得をした思いをしていたのがいつのまにか日の入りは早くなって行き、来月にはもう秋分で
「半々」の頃合いに辿り着く。冬至から夏へ向かう、なんだか「前向き」な感じの季節に比べ、これからどんどん昼間が減って行くという夏至後の半年
は物悲しい「後ろ向き」な感じもしてしまう。
さてそんな地上のうつろいとは無関係に「天上」の世界は不変が如き神々しさ。そんな「銀河」の晴れ姿を写真家遠藤湖舟の一枚で暑気払いにお届けする。長野県で撮影したもの。彼とは45年近く前、自然に魅せられて「世界」に没入して以来折に触れて浮世離れした「自然もの」対話を繰り返してきた。
小生の作る染色作品にはそんな自然モチーフのものが多いのだが、
この秋の制作に向けて、とくにストールを作って行くイメージに
素敵なインスピレーションを与えてくれた写真であった。
写真中心の彼のブログへもどうぞ。
ではまた
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