2010年9月14日火曜日

クリムトの着物


繰り返し挑戦している「クリムト」テーマの作品のひとつが出来ました。オクミから上前にかけての柄とそのアップです。
此の生地は紋意匠織(ジャガード織)の技法で、音楽とクリムトのテーマに沿った柄をアレンジして織り上げたもので、
その生地模様の上にさらにクリムト独特の「例の」柄を染め出したものです。
下はその紋意匠の原稿です。ここから織りのデータに作り込んでいくのです。

さて、先日鴨川での花柳流の踊りのおさらい会にお供させていただきました。
そのときの夕焼けと水族館でのショットをお目にかけます。
2001年の鹿児島水族館がきっかけで「くらげ」シリーズがはじまったのですが、今回もいくつか釘付けに成ってしまったのがありました。遠からぬうちに帯とかになってしまう予感が・・・・。
特にリアル「マンボウ」に接っしたのは初めてだったので大変
感銘を受けました。










お魚達も長く熱い夏、お疲れさまでしたね。
ようやく、ほんとにようやく秋風が。


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2010年9月3日金曜日

ニーバーの祈り

此の夏お嫁入りが決まってくれた名古屋帯が仕立て上がって参りました。題して「ブレックファースト」。
臈纈染めと絞り染めの併用でふわっとした模様にしてあります。
下は前柄の左右です。「ソメリエ」は時々思いついて変わった柄を染めてみたくなってしまうのですが、それは「こんな柄を身につけた女性がいたらいいな」というところから発想されます。「おせち料理」や「おやき」や「ふぐ刺し」や「カラシレンコン」を染めてみた事もあります 。同じテーマで何回も挑戦するものもありますがいずれにしても一点しか作らないのでなかなか大勢の方に見てもらう事が出来ません。仕方ないですね。


閑話休題。
自分の慌ただしい生活を振り返ると、いかに食事を大事にしていないかが思い出され恥ずかしくなります。端的に時間が無いだけなのですが、それをよしとしている「ずるずる」がきっといけないのでしょう。料理も嫌いではないのですがなかなか必要以上の線には踏み込めません。
皆の衆、ふつうカレーを20分なんかで作ります?
それも10皿分一度にとか。

クリスチャンの家族が食事前に祈る姿を見るにつけ、
わたくしと彼らとの間の「人格力」の差みたいなものに思いを馳せてしまいます。
ですから此の帯のようなブレックファーストをゆとりで
いただくようなことはソメリエの密かな夢かもしれません。

アメリカの神学者ラインホルト・ニーバーのThe Serenity
Prayerという詩にたまたま出会いましたので紹介させていただきます。

神よ、
変える事の出来るものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変える事のできないものについては、
それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変える事のできるものと、
変える事のできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。
(大木英夫訳)


浮き世の代表選挙なんたらかんたらに当てはめたりしたら
「ありがたみ」がすっ飛んで行ってしまいますから、おやりになりませぬよう。
でもわれらはその「浮き世」に棲息せざるを得ないのですからつらいですね。

テレビ朝日の「朝まで生テレビ」というのが好きで、始まってからもうかれこれ20数年、大体作業しながら「チラ見チラ聞き」してきたのですが、八月の「中国」テーマのときこんな話になりました。
中国という国は、個別にみると問題だらけですが、ともかく大勢の人が未来に希望を持っている、翻って日本人は(出演者の中国の人も言っていましたが、他国からみると羨むくらいの良い国なのに)そのように希望を語る人が本当に少ないと。
日本がもっとも景気の良かった80年代に、「未来」を提示することに失敗したのが此の国の不幸の遠因だというのです。

大上段の話はさておき、
一回一回の食事をおろそかにせず、それを楽しみ、食材を作った人、それを食べられるように調理した人に思いをいたせるような「あたりまえ」の姿を見失ってしまっているかもしれないと思ったのでした。

夏の終わりはいつも人並みにおセンチになるのですが、
今年はちっとも退場してくれないので、まずこちらから
おセンチになってみました。
プリプリの「世界で一番熱い夏」なんてしゃれになりませんよ。


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